作品数の謎



「ショパンの作品は全部で何曲ありますか?」こう聞かれたときにみなさんは何と答えてますか。自分は「大体230曲くらい」と答えるようにしています。この230という数字には根拠があります。ワルシャワショパン協会が編集した『パデレフスキ原典版ショパン全集』というCD、こちらに収められている曲数が全部で232曲あるからです。音によるショパンの完全作品目録としてパデレフスキ版の楽譜を元に楽譜に収められてない曲も追加収録され、解説も209頁と大変充実した内容になっております。ショパンの聴くことのできる曲は大体これでまかなえるでしょう。世界中に色々な楽譜出版社があって、同じ曲が何種類もあるという状況は時折混乱を招く事もあります。一つのエディション〔=版〕から録音して曲集としてまとめているのはこのCD以外には無く、録音がどうとか演奏の善し悪しは別にして大変意義のあることだと思います。

ショパン作品の手稿譜カタログさて、人間欲を言えばきりがなく、この録音もいささか古いためこの曲集自体が完全かというとそうでもなく、最近発見された曲も新たに録音されCDとして発売されたり楽譜が出版されたりしていますが、ショパンははたしていったい何曲残したのか、これを数えることは容易ではありません。我が家にある古い楽譜の中にもなんじゃこりゃというような曲もいくつかあり、そういった曲もこれからちょこちょこ紹介していきたいと思いますが、ショパンの作品を見ていく前に欠かせない作品を解説した本をまとめてみたいと思います。

まず現在入手しやすい本としては音楽之友社編『名曲解説ライブラリー4ショパン』、下田幸二著『ショパン全曲解説』、ドレミ楽譜出版社編『ショパン・ピアノ作品便覧』この3冊があればショパンの曲は把握しやすいでしょう。他にも属啓成さんの本もありますがこの3冊と比べるとやや力不足かと思います。特にドレミ楽譜出版社の作品便覧は大変便利で、ミニチュアスコアとして204曲も楽譜が掲載されており、巻末にまとめられた作品一覧表には出版年から出版社、自筆譜の所在まで本当に詳しく書かれています。ただ残念なのはピアノの曲に絞られているためその他のジャンルまで解説が完全でないという点だけが惜しまれます。

最後にショパンの作品を知る上で欠かせない本を紹介します。「クリスティナ・コビラニスカ『ショパン作品の手稿譜カタログ』 I・II 1977」です。こちらは2巻に分けられ1巻目には、A.出版された原稿、B.入手困難または失われた原稿、C.未確認の原稿、D.スケッチとノート、E.作品の元になった原稿、F.ショパンの書き込み原稿、G.第三者による原稿、付録とショパンの作品が詳細にデータ化されています。2巻目には1巻目に対応する自筆譜、ファクシミリなどの写真がまとめられており、最後に文献データが収められています。ショパンの作品を特定する際[KK]と番号をふることがありますが、それはこのコビラニスカのドイツ語版の目録によるものです。ただこの表示方法は一時期Breitkopfなどでも採用され、日本ではよく目にしますが、世界的に標準かどうかは微妙です。ドイツ語版の目録を持ってる人だけにしか通用しないことをふまえておいた方がいいでしょう。

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ピアノの詩人ショパンの文献目録です。ショパンに関する書籍を著者名、出版社名、発行日、ページ数とまとめて紹介しています。また海外の珍しい古書や楽譜なども紹介しています。